白仏 / 辻仁成 (著)

白仏 (文春文庫)

白仏 (文春文庫)



読了。明治大正昭和を生きた著者の祖父をモデルとして描く長編。埋葬されている骨で仏像を作るというエキゾチックな話かと思ったが、それだけに留まらないことにすぐ気付かされる。
重い読後感を得た。これはひさしぶりの感覚だ。筆者に対しては、音楽活動もこなす現代風のライトな作家という思い込みを持っていたが、いい意味で裏切られた。読み始めると、圧倒的な世界観に遭遇する。是非、お奨めしたい。
少年期の主人公の憧れの女性に「緒永久(おとわ」が出てくる。映像化するなら、誰かなと考えてみた。若いころの浅丘ルリ子が、いいだろうか。
ちなみに、この仏像は福岡県大川市大野島「勝楽寺」に実存するとのこと。