千羽鶴 - 川端康成 (著)

以前観た映画*1に触発されて『千羽鶴』(ISBN:4101001235)を読了する。亡父の愛人・栗本ちか子の茶会に招かれた菊治は、同じく父の愛人・太田婦人とその娘・文子に再会する。菊治は太田婦人と関係を持ち、トラウマを負ってしまう。結局、太田婦人は自殺し、文子は純潔に姿を隠す。太田婦人は映画のイメージより中年であった。原作では、45才ぐらいだったが、一方菊治は30才前という設定であるから、ひとまわりはちがうわけである。志野茶碗と太田婦人を同一視しているところが興味深い。
続・千羽鶴である『波千鳥』も収録されていた。菊治の新婚生活からスタートし、今後の文子との関わりが期待されるが、取材ノートを鞄ごと盗難にあった為に未完の小説となっている。文子は旅先*2から旅日記のような長い手紙を菊治に送ってくるが、私だったらこんな女はごめんだな。
いずれにしても、ジメジメした話。これが日本文学か。

*1:http://d.hatena.ne.jp/kyamamoto/20040507#p1

*2:ヒロイン文子が父親の故郷の九州の竹田を訪れる