「ひとり暮らし」の人生設計 / 岸本葉子 (著), 横田濱夫 (著)

「ひとり暮らし」の人生設計 (新潮OH!文庫)

「人生設計」とあるが、実用的なマニュアル本でがない。中年シングル二人の往復書簡の形式でのエッセイ。岸本さんのお相手である横田濱夫は誰だろうと思っていたら、以前、著書を読んだことがあった。その本はビジネス書だったので、今回の近所にキューピーを吊るすといった奇行とのギャップがあり、すぐにはわからなった。本書でも、経済通の片鱗が窺えるが、概ね豪放なシングルライルの内情を綴っている。
二人のいい大人が、シングルひとり暮らしという生き方を冷静に分析していてたいへん興味深い。ちょっとしたことだが、生命保険の受取人の指定に困るというのは、なるほどねと思った。往復書簡のスタイルでお互いの意外な一面が出ていて愉しい企画だ。岸本さんの文体が振れているのも注目したい。
本書は、二人の書簡が、それぞれが違う書体が使われているという凝ったつくりになっている。付録に、二人の対談があると、さらに良かったかも。