俺も女を泣かせてみたい / 小谷野敦 (著)

俺も女を泣かせてみたい

俺も女を泣かせてみたい



読了。小谷野節フルスロットルのエッセイ集。結構好き。
なかに「大河ドラマキャスティング考」というエッセイがある。『武蔵 MUSASHI』(2003年放送)で70歳近い若尾文子淀殿を演じていたのを、無茶な配役と断じている。その番組を観ていた当時、私も随分と老けた淀だなぁ、と思っていたが、やはり無謀だったのか。それにしても、大河ドラマの配役について至極詳しく評しているのには驚くばかり。意外にテレビを観ているのには驚いた。
他にも、「文学者受賞者死亡率」「県名を変えたほうがいい」など、どうでもいいのでは思うことを執拗に追求しているのは、筆者の真骨頂だろうか。それぞれ、蘊蓄たっぷりでなかなか面白い。
あとがきで、筆者がはからずも離婚したことを吐露している。そのことを書いたら、相手の弁護士に民事訴訟されるので書けない、としている。が、ここは一番、怖れずに筆を取って欲しいところだ。「美人好き」を標榜して憚らない氏の相手がどんな人だったのか、すごく気になるのだ。