戦艦武蔵 / 吉村昭 (著)

戦艦武蔵 (新潮文庫)

戦艦武蔵 (新潮文庫)



読了。二番艦・戦艦武蔵がどう造船されたが淡々と書かれる。記録文学と呼ばれている。まるで、プロジェクトXのように、様々の困難、障害を克服しつつ進水式を迎えるのは感動的だ。ただ、何の為の巨大戦艦なのかという思考の空白が恐ろしい。戦争という化け物を体現しているのだろうか。いよいよレイテ海戦で、浮沈艦も呆気なく撃沈されるわけだが、余りにも空しい。生き残った搭乗員の末路も哀れである。
あとがきにもあるが、『戦艦大和ノ最期』(ISBN:4061962876)という本もあり、本書とは対照的に、軍人の内面を描いているようだ。こちらも機会があれば手に取ってみたい。