「やめる」から始める人生経済学 / 森永卓郎 (著)

「やめる」から始める人生経済学

「やめる」から始める人生経済学



「やめる」といっても会社を辞めるということではなく、デフレ、アメリカ追従、成果主義、残業、都会暮らし、貯金、キャリア志向……をやめる、ということらしい。これまでの、氏のこれまでの言動がよくまとめられており、一読の価値がある。短いので時間もかからない。
森永氏の自分に正直にという態度には共感しており、テレビなどで窺える風貌からか、私的には結構好感度が高く、これまでも何冊が著書を読んでいる。人生について、「私は、自分の適性にあった仕事を選ぶのが、いちばん幸せな人生だと考えている。」と言われると、そうなのかなと妙に納得してしまう。
ただ、「所沢在住20年で痛痒を感じていない。都会に住むのは利がない」としているのはどうも納得できない。もちろん、ブランドチョップやオペラ観劇など、お金のかかる娯楽もあるが、お金をかけなくても、楽しめる娯楽は都心にこそあるものだ。私自身は中央線沿線の安い部屋などが一番暮らしやすいと思うのだが、諸事情により実現できそうにない。
本書は、森永氏が話した四方山話をライター川畑英里花さんがまとめたものだと、あとがき正直にも書いてある。「いい人」ぶりが出ているが、本当にそれでいのだろうか。書いてあることが、著者の意見なのか構成者のそれなのかが、わからないではないか。ちょっと、ひっかかった。