双調平家物語〈2〉栄花の巻(1)承前 / 橋本治 (著)



読了。前巻「中国篇」が終わり、ようやく舞台が日本に移ったと思ったが、平清盛の出番はまだまだのようだ。
本巻では、馬子(うまこ)、蝦夷(えみし)、入鹿(いるか)と繋がる蘇我氏の興亡を描き、いわゆる大化の改新(645年)、つまり中大兄皇子中臣鎌足らのクーデター(乙巳の変)をクライマックスに据えた構成だ。話の流れで、藤原道長を語らないといけないだろうから、その藤原氏の祖といえば中臣鎌足であり、鎌足が「大化の改新」で討ったのが蘇我氏といった具合である。
以後、時は下り、摂関政治さらには源平氏武家政権に移行するといった流れであるが、平家物語蘇我氏が登場するというは、周到というべきか。次巻に続く。