復活の日(1980/角川春樹事務所、TBS)
三百人劇場の『追悼特集 映画監督・深作欣二』で、復活の日を鑑賞。
小松左京原作の角川映画。南極ロケの映像は美しいが映画としてはどうだろうか。荒唐無稽とご都合主義な設定とストーリー展開で、リアリティがまるでない。私は米国崇拝者ではないが、さすがにこれほど無能でないだろう。ただ、現在猛威を振るう新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)と照らし合わせると、ぞっとする内容ではある。
1983年、細菌兵器の外部漏洩が原因で世界は死滅した。南極大陸に863名の人類を残して。しかしやがてそこにも第2の滅亡の危機が訪れる…。小松左京の同名SF小説を角川映画が当時23億円の製作費と世界初の南極ロケおよび長期海外数十カ国ロケを敢行して完成させた、恐らくは20世紀の日本映画界でもトップを競う超大作。
監督は『仁義なき戦い』『バトル・ロワイアル』の深作欣二で、彼独自の滅亡の哲学が映像で全面展開されている。オリヴィア・ハッセー、グレン・フォード、ジョージ・ケネディなど海外スターを多数そろえゲストとしてではなく本格的にドラマに絡ませていることも、当時の日本映画では画期的事件であった。また、彼らと対峙する主演・草刈正雄の誠実な演技と存在感が苛酷な世界観の清涼剤ともなっている。ジャニス・イアンが歌う主題歌『ユー・アー・ラヴ』の哀切な調べも美しい。
ちょっと感想を思いつくままに。