金環蝕(1975/大映)

新文芸坐で、『金環蝕』を鑑賞する。
山本薩夫監督による『華麗なる一族』、『不毛地帯 』に連なる社会派映画の傑作である。今回はダム建設をめぐる汚職を描いている。それぞれの役者が芸達者ぶりを発揮していて実に楽しい。特に西村晃はダーティな建設会社の重役を演じて、宴会芸を披露するなどイイ味を出している。また、山本監督作品の常連である 山本学が本作品にも出演していて、実直な秘書官役をしぶく演じている。他にも、仲代達矢三國連太郎宇野重吉高橋悦史大滝秀治などがキラ星のごとく出演しており、すごく豪華なキャストだ。ただ、女優陣は、首相婦人役に京マチ子を配しているくらいでいまひとつだ。仲代達矢の飄々かつのっぺりとした官房長官をみるだけでも、映画を観る価値がある。見所の多いお奨めの一作である。