弾痕(1969/東宝)

中野武蔵野ホールで、『弾痕』を鑑賞する。

監督:森谷司郎
脚本:永原秀一
美術:村木与四郎
音楽:武満 徹
出演:加山雄三/太地喜和子/佐藤慶/岡田英次/立花マリ/原知佐子/岸田森

森谷司郎としてはめずらしくハード・ボイルドの登場である。CIAの工作員が巻き込まれる迷路に果して出口は見つかるのか。加山雄三が非情なスナイパーにチャレンジして、個人と組織のはざまでゆれる心情をデリケートに表現する。さすが永原秀一のシナリオはすばらしく、光と影を描き分ける。スタッフも超一流を揃え、格調ある作品に仕上がった。
(チラシより)

いすず117クーペを駆る加山雄三が、ゴルゴ13のようなスナイパーを演じるが非情になりきれない。最後は女と駆け落ちしようとして、組織に始末される。『狙撃』(1968)の二番煎じだろうか。岸田森が、中共側のスパイ役で、超音波(?)装置で拷問を受けるシーンを熱演している。
今回はフィルムの状態が悪く残念だった。特にラストで、加山が撃たれるシーンがとんでいて、船に向かうシーンからいきなり射殺死体となっていた。これが演出なのか単にフィルムがとんでいるのかわからず不満が残った。