浮草(1959/大映)

蠍座で、『浮草』(小津安二郎監督)を鑑賞する。


旅芝居の一座が田舎町へ巡業に行く。じつは座長のむかしの愛人と息子がそこにいるからだが、いまの座長の女である女優は面白くない。そこで妹分の女優に座長の息子を誘惑させるという「浮草物語」リメイク作品。

記録を調べると、この作品は5月に「京マチ子特集」で銀座で観ていた。小津が大映で撮った作品として知られているこの『浮草』だが、彼の松竹での代表作に比べると上映の機会は少ないだろう。松竹からリリースされる彼のDVD全集にも当然収録されていない。この本によると、若尾文子小津安二郎作品に出演したのは、この1作だけであるが、監督のお気に入りであったらしい。
本年は、小津安二郎生誕100年ということでさまざまな企画があるだろうが、都内のスクリーンで、彼の作品の上映機会が増えることを期待したい。