火宅の人(1986/東映)

中野武蔵野ホールで、『火宅の人』(深作欣二監督)を鑑賞する。
壇一雄の同名私小説の映画化。深作欣二がめずらしく文芸作品を監督している。「火宅」とは「煩悩の止む時が無く、安らぎを得ない」という意味の仏教用語らしい。
いしだあゆみ原田美枝子松坂慶子の女優陣がそれぞれいいのだが、特に、いしだあゆみは完璧だ。大晦日に鰤をさばくシーンが実に印象的だった。また、監督らしく濡れ場が多く原田美枝子が豊満な肢体を披露しているもファンにとっては必見だろう。これはお宝映像としても、よく知られている。一方、小説家・緒形拳はどうだったのだろうか。無難といえば無難なのだが。
緒形は松坂の実家である五島列島を訪れるのだが、朽ちた教会など廃れた風情がなんともいえず、とても惹かれた。一度行って見たいと思う。また、子供たちが緒形を「ちちー」(父という意味だろう)を呼ぶのはおもしろい。
ちなみに、壇一雄は女優・檀ふみの実父。