黒い十人の女(1961/大映)

黒い十人の女 [DVD]
新文芸坐で、『黒い十人の女』(市川崑 監督)を鑑賞する。この週末から始まった「岸 惠子 特集」のなかの一本である。この作品は、ニュープリントを作成した際に作成された岸田今日子のナレーションによる予告編を何回か観ており、以前より是非本編を観てみたいと思っていた。
ストーリーは、船越英二が演じる女たらしのTVプロデューサが、その9人の愛人と妻に殺人を企てられ、ついには社会的に抹殺されるという話。まずは、船越英二の飄々としたキャラクタが秀逸である。さらに、二大女優の山本富士子岸恵子の競演はさずがに見所十分で、他の女優陣もすばらしいキャストだ。また、コマ割などのスタイリッシュな映像は、今日においてもなかなかクールだと思う。ストーリーよりも映像を楽しむ映画かもしれない。市川監督らしいと言える。
宮城まりこが途中で自殺を遂げているが、これは、今日の価値観では理解されないかもしれないが、その他は現代に置き換えてもそんなに違和感がないと思う。テーマも普遍性があり、新たな設定でリメイクしても面白いだろう。こんなに女性にもててみたいと、男なら一度は思ったことがあるのではないだろうか。でも、この映画の結末を見た後では、少し怖いかもしれない。
ちなみに、この作品は市川監督自身により、2002年にテレビでリメイクされているが、こちらは未見だ。岸恵子の役を鈴木京香が演じているらしい。