怪談(1965/文芸プロダクション=にんじんくらぶ)

新文芸坐で、『怪談』(小林正樹 監督)を観る。
小泉八雲 「怪談」 のうち 「和解(黒髪)」 「雪女」 「耳無し法一の話」 「茶碗の中」の4編を原作とするオムニバス作品で上映時間が3時間を超える長編である。今回上映企画の主賓・岸恵子は「雪女」で雪女役。武満徹の音楽、戸田重昌の美術が強烈な印象を残す。とくに、『耳無芳一の話』での壇ノ浦の戦いは映像・音楽とも圧巻である。仲代達矢丹波哲郎三国連太郎新珠三千代らの豪華キャストもみどころだ。怪談の怖さをそのまま描くのではなく、シュールで耽美な映像で人間性の深淵に迫っているところが、巨匠・小林正樹監督の真骨頂だろう。派手な色彩の映像や人工的な造形美は、海外での受けはよさそうだ。