処刑の部屋(1956/大映)

銀座シネパトスで、『処刑の部屋』(市川崑 監督)を鑑賞する。再開されたレイトショウでの、特集「行け、行け!川口浩〜没後17回忌」のなかの一作目。
石原慎太郎原作の小説の映画化。当時の学生の生態をどれだけ正確に描いているのだろうか。勿論、誇張はあるのだろうが、映画での描出が現実近いとしたら熱い時代だったのだろう。『太陽の季節』(1956/日活)に始まる、いわゆる「太陽族」映画のなかの一本。本作は川口浩出世作として知られるが、彼特有の台詞回しで、社会に反抗する大学生を好演している。六大学野球戦の後、女子大学生・若尾文子睡眠薬を飲ませて乱暴するといったような不良学生である。若尾はこの当時まだ端役であるが、ぽっちゃりした感じが初々しい。終始暗い映画だが、これが流行だったのだろうか。ちなみに、後年、若尾と組んで数々の名作を残す増村保造が助監督として参加している。
銀座シネパトスでは、レイトショウを歌舞伎座側のシネマ3で上映することにしたようだが、シネマ1、2側の掲示*1に当時の上映館向け販促用資料が掲示してあるのはうれしい。ただ、ファックス受信用紙のようで一部不鮮明なのは惜しい。

*1:改装後、レイトショウ用のスペースが狭くなってしまった。