くちづけ(1957/大映)

銀座シネパトスで、『くちづけ』(増村保造 監督)を鑑賞する。川口浩特集のなかの一本。本作は増村保造の記念すべき監督デビュー作である。青年・欽一(川口浩)と少女・章子(野添ひとみ)の特殊な境遇での青春を瑞々しく描く。二人でオートバイで海に向かうシーンが印象的。出番は少ないが、収監されている欽一の父・小沢栄太郎の演技もうれしい。従来の日本映画が枠を脱しており新鮮な映画であるが、西洋かぶれのような気もしないことはない。しかし、すべてはここから始まったのだ。