座頭市関所破り(1964/大映)

新文芸坐で、『座頭市関所破り』(安田公義 監督)を鑑賞する。「勝新太郎映画祭」の中の一本。シリーズ第9作。「関所破り」とは、関所手形を所持しないで、不法に関所を通過し、または間道を抜け、関所を避けて通ることを意味するが、本作ではなんと関所に殴り込みをかけ悪代官を斬ってしまう。ライバルとして平幹二郎が出演しているが、影が薄くあまり強そうでないところが難である。今回は碁盤、独楽、賽、御用提灯など居合で斬ってみせてくれ、いよいよ超人技が冴えまくる。とくに、碁盤を真っ二つにする様は、「んな、バカな」といった感じである。ラストは除夜の鐘が響くなかで立ち回りを演じ、妙義山の初日の出をしみじみと拝み、これを背にしていずれともなく去っていく。哀愁が漂ういいラストだ。