上意討ち 拝領妻始末(1967/三船プロ=東宝)

下高井戸シネマで、『上意討ち 拝領妻始末』(小林正樹 監督)を鑑賞する。"世界の三船敏郎、没後6年特別追悼上映"の中の一本。主君のわがままや藩の身勝手さに腹をたてた忠義者が、周りの者の忠告を無視して息子とともに 上意討ちの一隊に立ち向かう。武士世界の非情さとファミニズムを橋本忍脚本が描いた時代劇。理不尽に対する怒りが緻密に描かれており、次第にラストの夫婦の絆に焦点があたる。橋本節の真骨頂だ。
三船の立ち回りはいつもどおりだが、全体的には殺陣はいまひとつだ。側用人神山繁隈取りのメークが不気味だ。トラブルの張本人・司葉子の影が薄いのはミスキャストだろうか。