不毛地帯(1976/芸苑社=東宝)

自由が丘武蔵野館で、『不毛地帯』(山本薩夫 監督)を鑑賞する。山崎豊子原作の同名小説の映画化。「ロッキード事件」に題材*1を得た社会派サスペンス。3時間を越える大作で、途中休憩あり。
シベリア抑留から帰国した元・大本営参謀・仲代達矢が商社に就職し、次期戦闘機導入に絡む汚職事件に巻き込まれる。紆余曲折の末、ついに防衛会議でこの商社が推す「ラッキード社*2」の戦闘機F104がFX*3として選定される。ビジネスには勝利するが、戦友・丹波哲郎轢死させてしまい、家族との絆も破綻してしまう。次期商戦でも協力を依頼されるが、社長・山形勲の慰留の固辞するが、退職届は破られてしまう。戦前・戦後と通して権力に翻弄されてきた仲代の心中に去来するのは何だったのか。
仲代達也がかっこよすぎ。ライバル商社の商社マン・田宮二郎官房長官小沢栄太郎などのキャストも見どころ。また、山本薩夫監督作品の常連の山本圭ロスアンゼルス駐在員で出演。上映時間は長いが、まったく飽きずに観られる。社会派映画の傑作。
壱岐語録: 「戦争はやってはいけない、だが始まったら絶対に勝たねばならん」

*1:劇中実名は伏せたあるが、すぐそれとわかる設定。池田首相の出っ歯はギャグなのか。

*2:当時、ロッキード社とグラマン社でFXが争われた。

*3:次期戦闘機(Fighter Experimental)