ぼんち(1960/大映)

新文芸坐で「ぼんち」(市川崑監督)を鑑賞する。特集「山崎豊子全映画」のなかの一本。主人公は、市川雷蔵扮する船場の足袋屋の若旦那。大阪船場のぼんちという宿命を負った一人の青年の半生が描かれる。越路吹雪京マチ子若尾文子の妾衆が、疎開先で呑気に入浴しながら、喜久治からもらったお金の使途を話しているのが印象的。豪華な女優陣が堪能できる大映らしい作品。市川雷蔵の陽の部分がよく発揮されている。若尾文子は、芸子「ぽん太」役で雷蔵との間に一子をもうけるが、その子の名前は、「太郎」という安直さ。
本作は『女系家族』(1963/大映)につながる船場シリーズだが、作者は船場の取材からいくつもの作品を執筆しているようで、「一粒で二度おいしい」ということだろうか。