美貌に罪あり(1959/大映)

ユーロスペースで『美貌に罪あり』(増村保造監督)を鑑賞する。「特集上映 増村保造若尾文子」のなかの一本。
東京近郊で農園を経営し、蘭の栽培を営む一家を巡り、複数の話が同時進行するお涙頂戴の群像劇。よく練られた脚本でのハッピーエンドもいいものだ。勝新太郎山本富士子のコンビが美しい。これが映画スターなんだなと思わせる。勝新はさすがに踊りが達者で、劇中で創作舞踊を堂々と披露している。これら大映俳優に囲まれて杉村春子の存在が際立っており、ふだんの大映映画とは違った雰囲気を醸し出している。また、若尾のスチュワーデスの制服、水着、パーティードレスなどのコスプレもこの映画の楽しみのひとつか。あまり増村らしくない一作。