2004-06-28 砂の女 - 安部公房 (著) book 『砂の女』を読了する。面白い。安部公房の客観的な写実の巧みさは特筆できる。最初の日常的な導入部から、主人公が非日常的な状況に置かれたことがわかるところが怖い。最後は絶好の脱出チャンスを得るが、脱出する気力もなくしてしまう。外の世界の閉塞感も、穴の中の生活と大差ないということか。「罪がなければ、逃げるたのしみもない」 ちなみに、映像化が難しいだろうと思ったが、本作は、岡田英次と 岸田今日子の主演で映画化*1されている。なかなか原作の雰囲気が出ているとように思う。 *1:砂の女 / http://www.jmdb.ne.jp/1964/cn000450.htm