スラバヤ殿下(1955/日活)

ポレポレ東中野で『スラバヤ殿下』(佐藤武監督)を鑑賞する。元来の上映スケジュールでは、有島武郎原作の『或る女』(1954/大映/豊田四郎)を上映する予定だったが、フィルムセンター*1が貸し渋った為に、『スラバヤ殿下』に番組変更となっていた。京マチ子若尾文子を観にきたはずが、なんと森繁久彌のコメディーを観ることになるとは、かなりのギャップだ。でも、受付で招待券を頂いたのでよかったことにしよう。
本作は森繁久彌一人二役の大活躍。ショーのシーンでは、黒塗りの顔と南方風衣装で歌って踊っての芸達者ぶりを披露している。三木のり平との謎の外国語での掛け合いは一見の価値あり。これはタモリの芸の源流だろうか。1954年の第五福竜丸の事故をも貪欲に映画に取り入れたナンセンスコメディの隠れた快作。とにかくサービス満点。