どくとるマンボウ航海記 / 北杜夫 (著)

なぜか再読したくなって『どくとるマンボウ航海記』(ISBN:4122000564)を手にとる。旅先での時間つぶしである。
水産庁の漁調査船に船医として五ケ月の航海に出た著者が、アジア、ヨーロッパ、アフリカを巡る紀行文である。卓抜したユーモアは今日読んでも新しい。特に欧州のあたりが好きだ。様々な女性が登場するが、うらやましい思いも随分したのではと勘ぐってしまう。
人ごとながら、医局に籍をおくも論文も書かずに、調査船に乗るというのは研究者として将来をどう考えていたのだろうか。筆で生計を立てる覚悟が既にあったのだろうか。自分のことに重ねてふと思う。