情事の履歴書(1965/若松プロ)

情事の履歴書 [DVD]
銀座シネパトスで『情事の履歴書』(監督: 若松孝二)を鑑賞する。「完全なる若松孝二」の最初の一本。「完全なる」とあるが、今回は60年代の作品を中心した10本が上映される。
本作は、ピンク映画だが、凝った脚本サスペンス仕立ての作品となっている。田舎での忌まわしい事件の末、上京してきた加代が、数々の男性遍歴を経て逞しく生きていく様を描く。彼女が全裸で雪中を走るシーンは印象的だ。フィルムが古く見苦しい部分があるとのことだったが、それほどでもなかったのでよかった。
上映前、若松孝二氏のトークショウがあった。短い時間であったが、「映画のなかで警官を殺したいと思っていた」「作品に時効はない」という話を披露してくれた。監督作品のなかで、現存しているフィルムは、それほど多くないというのには驚いた。戦前の監督にはよく聴く話ではあるが。もっと、デジタル化して保存するなど、文化事業として組織的に取り組むことはできないだろうか。もったいない。
また、監督の新作『完全なる飼育 赤い殺意*1』のプロモーションもぬかりはなく、主演女優・伊東美華の挨拶があった。その後、予告編の上映もあったが、「あのかわいい子が…」という感じだ。

*1:『完全なる飼育 赤い殺意』http://www.shiiku6.jp/