ベンチャー企業の「仕事」/ 太田肇 (著)
ベンチャー企業の「仕事」―脱日本的雇用の理想と現実 (中公新書)
- 作者: 太田肇
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/01
- メディア: 新書
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を読了する。データに基づいての議論は説得力があるし、たいへん読みやすい。
ただ、読後においても、ベンチャー企業の定義もあいまいで、一般の中小企業との区別がつかなかった。そのペンチャ―の虚実を、働く個人に立場から考察しているのは評価できる。まさにその類の本を探していたところだった。ベンチャー関連の書籍となると、起業者向けに経営や支援制度に関するものが多いようだが、こういった労働者に視点で、今後のワークスタイルを提言しているのは、大変参考になる。また、ベンチャーといえども、日本企業の閉塞した制度をそのまま踏襲している場合が多く、それは起業者の出自に依るところが大きいというの興味深い。「日本型ベンチャー」の課題というわけだ。
さらに、人が職業生活に求めるものとして、次の3つを挙げて論じているが、これはなるほどと思った。
- G価値 (夢や目標)
- P価値 (仕事のプロセス)
- S価値 (生活の維持)
「ベンチャー」というのは、もともと「危険を冒す」という意味らしいが、「生活の維持」(S価値)に対する懸念から参画できないでいる人も多いということも想像に難くない。やはり、ベンチャーは長時間労働、低収入なのだろうか。「組織人」でなく「仕事人」が新しいワークスタイルであるというのは、共感できる。