その夜は忘れない (1962/大映)

三百人劇場で『その夜は忘れない』(監督:吉村公三郎)を観る。「吉村公三郎 女性映画革命」の一本。上映機会が少ない作品だと思うが、若尾文子を目当てに千石まで出かける。16mmフィルムでの上映なのが残念。
若尾文子田宮二郎による悲恋メロドラマ。田宮は原爆投下から17年後の広島を取材する記者で、若尾はバーのマダムという設定。
河原の小石を拾い、これを握ると砂となり崩れるというシーンがある。被爆の痕跡だ。これを「広島の石」と呼んでいたが、若尾が扮するヒロインの急死という結末と重ね合わせるてみると、実に印象的だ。
中村伸郎が医師を演じていて適役。この手の役どころは、実にしっくりくる。