真珠夫人 / 菊池寛 (著)

真珠夫人 (文春文庫)

真珠夫人 (文春文庫)



読了。まったくの通俗小説。500ページを越える大部であるが、比較的読みやすい。
これまで廃版となっていたが、テレビドラマのブームにより復刻され読む機会を得た。これは文春文庫版だが、新潮文庫からも復刊されていて、表紙カバーをドラマのヒロインの横山めぐみが飾っている。こちらの文春文庫版は、兄・光一の油絵を模したものだろうか。
処女とか貞操と云う言葉が、臆面もなく出てくるのは鼻白むばかりであるが、時代を考えると斬新な女性像であったのだろう。でも、モーパッサンとかの教養を見せられてもなぁ。体を許さず、男たちを翻弄するは凄いが…。これって一体何なのだろうか。悲劇的な結末で、最後はきちんと泣かしてくれるのは、作者の良心だろう。美奈子のその後は、気になる。
ちなみに、巻末には全集に寄せられた川端康成の解説が載っている。一読の価値あり。
さて、ドラマは未見だが、ホームページを覗いてみると、かなり翻案されてパワーアップしている様子。原作を読みながら、瑠璃子を演じるのは誰かと思っていたが、横山めぐみであった。ビデオを借りて、一度観てみたいものだ。噂によれば、荘田勝平役の大和田伸也がすごいらしい。