兵隊やくざ(1965/大映)

兵隊やくざ』(増村保造 監督)を、新文芸坐で鑑賞する。「勝新太郎映画祭」の中の一本。有馬頼義 「貴三郎一代」を原作に増村保造が監督し、これ以降シリーズ化され9作が製作される。インテリの有田上等兵田村高廣)と元やくざの大宮二等兵勝新太郎)の名コンビが繰り広げる痛快な映画。人間らしく生きる二人のキャラクターが際立っている。とくに、勝新太郎の豪放なキャラクターは実に魅力的だ。ラストは、南方への派遣されることになり、移動中の軍用列車を強奪して脱走に成功する場面で終わり、次回作への含みを残す。増村監督は女優を撮ると真価を示すと言われているが、本作にはほとんど女優が出てこない。それでも、彼の手腕が発揮されており、テンポのよい娯楽作品として十分楽しめる。