地上(1957/大映)

銀座シネパトスで、『地上』(吉村公三郎 監督)を鑑賞する。「川口浩 特集」のなかの一本。大正初期の作家島田清次郎の同名小説を原作とし、主演は「くちづけ(1957)」のコンビ川口浩野添ひとみが演じる文芸作品。香川京子東宝から参加して、薄幸の少女を演じている。舞台は大正時代・古都金沢だが方言は使用されていない。大正デモクラシーの頃の社会状況に翻弄される男女の群像劇で、内容は今となっては相当に陳腐だ。結局は小奇麗な「青春残酷物語」となっている。小沢栄太郎が底意地の悪い校長を演じているのは見所か。大映カラーがよく出た一品。