白昼の死角(1979/東映)

自由が丘武蔵野館で、『白昼の死角』(村川透 監督)を鑑賞する。音声の状態が悪く残念だった。夏木勲主演の企業犯罪ドラマ。上映時間は150分とかなりの長編。冒頭、東大生の金融業社長の岸田森が狂気の焼身自殺をする。そのあとを継いだ夏木が、次々に企業相手に金融詐欺を働いていく。
豪華キャストも見逃せない。千葉真一天知茂佐藤慶室田日出男成田三樹夫らが配されているが、なんといってもインパクトがあるのは特別出演の丹波哲郎だ。ショックを受けた詐欺の被害者に向かって「なーにを言ってるんだか、さっぱり分からん」と一喝。
終盤、夏木は罪の意識に苛まれるが、その悪夢のイメージシーンで、これまでの犠牲者が寺山修司ばりの白ぬりで登場する。なぜか野球のユニフォームを着て登場する岸田森が意味不明で笑える。島田陽子が夏木の愛人役で中途半端に脱いでいるのもいまとなっては見どころか。
多少、間延びした感じはするが、最後まで飽きないで観ることができた。ちなみに、劇中、「アプレ*1」という表現があるが、これは戦後派のことを指す。

*1:アプレゲール(仏語 apresguerre)戦後、特に第二次大戦後に育った、昔からの考え方や習慣にとらわれない人たちをいう。戦後派。アプレ。