就職がこわい - 香山リカ (著)

就職がこわい
就職がこわい』(ISBN:4062122693)を読了する。最近の若者の雇用状況の厳しさは、社会の経済状況の厳しさで新卒の雇用が抑えられているのが主因だろう。が、それだけでなく若者の内面の変化にも原因があるとし、精神科医である著者が、大学教員での経験を通して分析を加え、将来すべきことを示唆している。
私は、『絶対内定*1』(杉村太郎 著)の世話にもならず、あまり就職に対して深く考えずに、研究室の推薦で、いきあたりばったりで就職してしまった身である。本書に出てくる若者たちに対しては、「甘ったるな」と思う同時に、どうやって自立するつもりかと問いたい。2,3年は就職して見聞を広めたらどうなの、と言いたい。本書で、就職先の条件に「電車通勤は疲れるから、自転車か原付で通えるところ」としていた学生が出てきたが、ここまでくると二の句が告げない。私も、関西か関東かと考えたことはあったが…
やはり、学生といっても一部*2なのでは、と思ってしまう。バイタリティがある若者は実際に接する機会があるし、社会は動いているわけなのだから。しかし、この状況が続くと社会の階層化がより明確となり、新たな社会問題となることは必定だろう。既に、その兆候は随所に窺える。

*1:絶対内定&面接の技術 / http://naitei.diamond.co.jp/

*2:筆者は、これは一部大学でのことではないと断っている。彼女は、当時は、神戸芸術工科大学の教員であったようだ。やはり、この問題については、学生の質や専攻との相関を吟味する必要があると思った。とにかく、採用側からも社会が受入可能な水準というものもあるとあるのだ。