大菩薩峠 (雷蔵版)
シネスイッチ銀座の市川雷蔵映画祭 「艶麗」でのオールナイト上映で、「大菩薩峠・三部作」と鑑賞する。盛況。スクリーンで三作連続で観るのは、貴重な機会だ。
中里介山の未完の長編小説が原作で、何度も映画化されている。今回は机竜之助が、いかに狂気に至るようになったかを注視していたが、これは最初からイカレていたみたい。まさにキチガイに刃物だ。本作でも雷蔵は十分魅力的なのだが、ストーリーは御都合主義に過ぎる。
尋常の試合で落命した兄の仇よばわりする宇津木兵馬も、これでほんとにいいのか。逆恨みではないのか。紆余曲折の末、竜之助と兵馬との対決はハッキリしないまま幕に。なんとも釈然としない。
以前観た片岡千恵蔵(東映)より雷蔵のほうが、ヒール机竜之助としてはハマリ役のようだ。お松役の山本富士子がすごく綺麗なのだが、「完結篇」で、なぜか出演していなのが残念。