新 平家物語 (1955/大映)

テアトル新宿で『新 平家物語』(監督: 溝口健二)を観る。市川雷蔵映画祭「艶麗」の千秋楽。
藤原一族の貴族政権崩壊の前夜、武家の蜂起を誓う平清盛の若き日を描く。大概の話は清盛が栄華を極めてからが取り上げられるが、それ以前の話であり、好青年として描かれており、私が持っている狡猾なイメージとは隔たりがある。今年の大河ドラマ義経』は平治の乱のあたりから始まったが、これよりもかなり遡る。本当は、源平合戦の絵も観たかったが、これは期待外れ。
正直いって、ストーリーは退屈なのだが、豪華な牛車や衣装が見どころだろうか。往年の日本映画の隆盛を実感できる作品。
今回はデジタル・リマスター版ということで、50年前の映画だが、宮川一夫撮影の映像が鮮明に保存されているのはずばらしい。特に夜の暗い場面での撮影が秀逸だ。