切腹 (1962/松竹)

昨日に引き続き三百人劇場で、『切腹』(監督:小林正樹)を鑑賞する。「巨星 小林正樹」の一本。
時代は江戸初期。生活に困窮した浪人が切腹のため屋敷の玄関先の拝借を申し出て、小遣い稼ぎをするといったことが横行していた。よんどころない事情により、ある若侍がこれに倣い井伊藩邸を訪れるが、予想外の展開で。半ば強制的に切腹させられる。それにしても、竹光での切腹は痛そうだ。その後、仲代達矢扮する若侍の義理の父が、井伊藩邸を訪れ、井伊藩の重役に対峙する。
初老の侍に切腹の場で濤々と語らせるあたりは、橋本忍の脚本の面目躍如といったところだ。ラストでの仲代達矢の立ち回りも迫力満点。武士世界の無情を鋭く描いており、海外受けしそうな内容だ。お奨めの一作。