氷壁(1958/大映)

新文芸坐で『氷壁』(監督: 増村保造)を鑑賞する。井上靖のベストセラー小説の映画化。多分初見。
本邦初の山岳映画かどうかは別にして、なかなかカメラが健闘しており、技術が未成熟な当時においては、山岳シーンは迫力がある。「ビニールザイル」は、本当に切れたのか。
ストーリーは、人妻・山本富士子に翻弄された二人の男の運命を描く、といった作品。でも、山本富士子は優等生の雰囲気が強く「魔性の女」が似合わないのだ。そのため作品全体が淡白になっているように思う。これは、ミスキャストでわ。一方、野添ひとみは、可愛らしく印象も深い。キスシーンも素敵。
本作品は、増村監督らしくない月並みな作品となっているように感じた。ザイルと云えば、同じ増村監督の『妻は告白する』(1961)が思い出されるが、そちらの方を薦める。